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建ちゃん

「建ちゃん」は、祖父の兄の三男で、父の従兄にあたる人です

僕が子供の頃、親族で
備前焼を生業にしていたのは"建ちゃん"の他になく、住いも往時僕等が住んでいた井田村という村内で、長女の千香子ちゃんは僕の妹と同い年、現在"建ちゃん"の跡を継いでいる次女の喜久代ちゃんも姉と二つ違いという、我が家とは家族構成が似通っていたため村内で近所にあった他の親戚達とは違い親近感が強い、僕にとっては”ちょっぴり恐い一番身近なおいちゃん”なのでありました。 

その「建ちゃん」を語る時、人はお酒の話を欠かさないんでありますが、一言 

「建ちゃん」の愛称である「酔っ払いの建ちゃん」は、いわゆるお酒を呑んでへべれけになるまで “呑んで遊んでた、だらしないおやじ” なのではなく、人見知りで人付き合いも下手、気配りも配りすぎるくらい配っているのだけれど上手く伝える事が出来ず、かつ 口下手で 言葉も足らないから社会人としては悲しいほど駄目人で、寂しがり屋だった「建ちゃん」
いわゆる “世渡り下手のお人よし” が“世俗に飲み込まれないように” と、下戸なのにお酒の力を借りて自身を鼓舞し続けているうちにお酒に呑まれ、飲む度に醜態を曝しながら、のたうち回っていた漢の姿だったと考えています

身内の言い訳のように聞こえると思いますが、それが僕の中の、悲しくも純朴にひたすら土を愛し、かの魯山人に「天才」とまで言わしめた"建ちゃん"の姿なのであります。

ちなみに、父も のんべ のように思われている節がありますが、祖父と建ちゃんの反面教師のおかげ? なのか、お酒はいけませんでした。

さて、本題に入ります。 
そんな「建ちゃん」の展覧会が、現在岡山市尾上の 黒住教神道山宝物殿 で、来年の1月27日(日)まで開催されています。 

点数こそ50点程なのですが、作品1点1点からほとばしるエネルギーは、土を愛し、炎と戦い、自身の命を削りながら、作品に生命を与え続けた「建ちゃん」の想いであふれており、会場の中にはたくさんの「建ちゃん」がいて、作品から立ちのぼる狂気を孕んだ威容に、僕は陶芸家として「恐怖」と「羨望」を感じるのであります。

でも、この会場で「建ちゃん」の作品に出会った人は「安らぎ」を覚えるかも知れません。 ある人は「こんな作家がいたのか」と、その豪放で天真爛漫な作風に感動するでしょう。 そしてある人は「建ちゃん」のデリカシーや、優しさや、悲しいほどの愛情を自身の琴線に感じて、その人臭さに涙することでしょう。

今回は、会場の写真も、作品の写真も載せません。

僕の好きだった「建ちゃん」の笑顔が迎えてくれる会場にお越しいただき、皆さんの五感で、「藤原 建」の「陶魂」を受け継いだ作品達の「ありのままの容」を直に感じていただければ、こんなに嬉しいことはありません。


 

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